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第88回懇話会のお知らせ

2018年3月11日(日)茅ケ崎市勤労市民会館 14:00~18:00
化学者たちの京都学派―退職と出版に寄せて―
講師:古川 安さん(日本大学生物資源科学部、科学史)

講演概要

 この3月に古希を迎え, 勤務先の大学を定年退職することになった。私の科学史家としての出発点は1978年のアメリカ留学であった。それからちょうど40年になるが, 好きな科学史をライフワークにすることができたことは幸せだった。この講演では, 冒頭で私の科学史遍歴についてのパーソナル・ヒストリーを紹介させて頂いた後, ここ十年間の研究成果をまとめて昨年暮に上梓した『化学者たちの京都学派-喜多源逸と日本の化学-』(京都大学学術出版会)に関して, 研究の経緯や出版の裏話, 本の中のトピックをお話しさせて頂く。

 化学にも「京都学派」を名乗る学派があって, 日本の化学の方途に大きな影響を与えた。この本はその創始者である京都大学の喜多源逸(1883-1952)とその学派の誕生と展開の様相を, 1910年代から1960年代までたどる。換言すれば, 大正から昭和中期にかけて, 京都大学工学部を舞台に織りなされた化学者たちの群像を描いたものである。喜多は奈良県に生まれ, 東京帝国大学工学部の応用化学科を卒業後, 助教授となったが, やがて逃げるように京都帝国大学に移った。

 東京帝大には生涯ライバル意識を持ち続けた。京都で工業化学者としての自己の教育理念を実現し, 独特の学風を植え付けた。寡黙で木訥な男が, なぜ知の学堂の指導者として成功したのか。学者として脂ののり切った壮年期, 日本は戦争に突入していった。時代は彼と京都学派にどのような影響を与えたか。京都学派は, 高分子化学者・桜田一郎, ノーベル賞受賞者・福井謙一, 野依良治といった異色の化学者たちをなぜ輩出したのか。そもそも創造性とは何か。こうした問いを念頭に置いて自由に論じたい。

講師プロフィール

古川 安(ふるかわ やす)
【略歴】
 1948年静岡県生まれ, 神奈川県育ち。1971年東京工業大学工学部合成化学科卒業。1971-1977年帝人株式会社勤務。1983年米国オクラホマ大学大学院博士課程修了, Ph. D.(科学史)。1985年横浜商科大学商学部助教授。1988年東京電機大学工学部助教授。1991年 同教授。2004年日本大学生物資源科学部教授。2011-2016年化学史学会会長。
【主要著書】
『科学の社会史-ルネサンスから20世紀まで-』(南窓社, 1989;増訂版2000); Inventing Polymer Science: Staudinger, Carothers, and the Emergence of Macromolecular Chemistry (University of Pennsylvania Press, 1998);『化学者たちの京都学派--喜多源逸と日本の化学--』(京都大学学術出版会、2017)[共著]:『科学史』(弘文堂, 1987);『精密科学の思想』(岩波書店, 1995);『科学と国家と宗教』(平凡社, 1995); Chemical Sciences in the 20th Century : Bridging Boundaries (Wiley-VCH, 2001); The Cambridge History of Science, vol. V (Cambridge University Press, 2003)[共編著]:Transformation of Chemistry from the 1920s to the 1930s (Japanese Society for the History of Chemistry, 2016);『化学史事典』(化学同人, 2017)[共訳]:『数学の社会学-知識と社会表象-』(培風館, 1985).

日時/会場

日時:2018年3月11日(日)14:00~18:00
会場茅ヶ崎市勤労市民会館(〒253-0044 茅ヶ崎市新栄町13-32)電話 0467-88-1331 FAX 0467-88-2922
参加費:1,000円
連絡先:猪野修治(湘南科学史懇話会代表)
〒242-0023 大和市渋谷3-4-1 TEL/FAX: 046-269-8210 email: shujiino@js6.so-net.ne.jp
湘南科学史懇話会 http://shonan-kk.net/