湘南科学史懇話会について

湘南科学史懇話会は、主に神奈川県の湘南地域近郊に在住する人々が幹事となり、現代科学技術と科学技術史の諸問題を、話題提供者と参加者が、十分に時間をとり、自由に議論・交流する場です。ここでの活動はいわゆるアカデミズムの学会とは一線を画します。

狭い学問領域にとらわれず、多様な職能をもつ広範な市民・労働者・研究者・学生が自由に議論することを大きな目的としています。また、湘南科学史懇話会に参加する人々が、緩やかな共鳴関係を保ち、それを尊重し、さらなる共鳴関係を創ることをも目的としています。

懇話会を立ち上げ主宰する私(猪野)は、長年、反米軍基地運動を皮切りに、種々の市民運動に大きな関心を向けてきた教育労働者です。その一方で、現代科学技術と自然科学史の学問にも関心を向けてきました。

アカデミズムの独占的知的学問と人間的・社会的閉鎖性を解き放し、市民・労働者・研究者・学生の社会活動・学問活動と連動させることが必須だと考えています。さらに、社会を構成するすべての人々の批判的応酬を真摯に受け入れ、それと相互作用する知的学問形態を創ろうとしています。

多様な社会的職能の世界で培われた知的学問形態を社会的・政治的・思想的に抑圧された人々の知的学問と連帯させるときです。

湘南科学史懇話会は独自の知の形態をもつ多様な職能の社会的連帯を創って行きます。

当懇話会の内容はすべからく、「湘南科学史懇話会通信」に掲載・再録されます。多くの市民・労働者・研究者・学生に購読されることを願っています。(1998年10月10日記)


私事ながら2005年3月31日、34年間(1971-2005)にわたり勤務した教育現場を退職しました。それ以前は大学と研究所に5年(1965-1971)ほど勤務しておりましたから、ほぼ40年にわたり教育と研究の労働現場の生活をやってきたことになります。

この間の人生流転の有様は拙著『科学を開く 思想を創る-湘南科学史懇話会への道』(柘植書房新社、2003年)に詳細に述べましたのでご覧いただければ幸いです。今後は自由な立場で活動していく所存です。

懇話会を主宰して8年の時間を経過しましたが、これまでの活動の様子はHPに明らかです。現在まで43回の研究会を実施しその記録を再現した機関誌『湘南科学史懇話会通信』も第13号を刊行するに至っております。  

これもひとえに幹事と講演者の方々のご支援の賜物と感謝しておるところです。また参加者も延べ1000名に達しております。当懇話会は参加資格や会則などまったく持ちません。まったくなんびとも参加できる一期一会の寺子屋的学問所です。多様な方々のご賛同を期待しております。 

どうか、ご支援を御願いします。(2005年12月31日記)

湘南科学史懇話会代表
猪野修治