第77回懇話会(終了しました)

2016年03月27日(日)茅ヶ崎市勤労市民会館 14:00~18:00
講師:湯浅一郎さん(海洋物理学、ピースデポ副代表、環瀬戸内海会議副代表)

海の放射能汚染を考える ―福島事態を文明と欲望を問い直す契機に―

講演概要

 シルクロードの命名で知られるドイツの地理学者リヒトホーフェンが、1868年に瀬戸内海を通り、その風景と人の営みを絶賛した。「広い区域に亙る優美な景色で、これ以上のものは世界の何処にもないであらう。《中略》かくも長い間保たれて来たこの状態が今後も長く続かんことを私は祈る。その最大の敵は、文明と以前知らなかった欲望の出現とである」。それから約70年後(1938年)、核分裂とそれに伴う膨大なエネルギーの放出が発見され、核兵器と核発電(原発)が作り出され、社会に定着していった。

 リヒトホーフェンの懸念から一世紀と少しを経た1971年3月、福島第1原発が稼動し、40年後の2011年3月11日、メルトダウンを起こした。核分裂生成物(「死の灰」)製造工場とも言うべきものが、大地と世界三大漁場の一つを汚染した。講演では、福島事態による海・川・湖の放射能汚染を詳細に見つめることを通じて、人類による海の放射能汚染を全体として捉えなおしてみたい。人類は、自然は無尽蔵であると勘違いし、海をゴミ捨て場とみなしてきた思想を改め、産業革命以降の人類の歩みを省察すべきである。<これ以上、海を毒壺にするな>という海のうめき声に真摯に向き合い、現代文明の脆弱な社会構造を振り出しからみ直すべきことを提起する。

講師プロフィール

湯浅 一郎(ゆあさ いちろう)

 ピースデポ副代表、環瀬戸内海会議副代表。1949年東京生まれ。東北大理学部卒。専門は海洋物理学、海洋環境学。2009年まで瀬戸内海の環境汚染問題に取り組む。1971年からの女川原発をはじめ芸南火電、海洋開発など多くの公害反対運動に関わる。84年の核トマホーク配備反対を契機に平和運動に関わり、ピースリンク広島・呉・岩国(89年)、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(2001年)結成に参加。2008年2月~2015年3月までNPO法人ピースデポ代表。

著書

日時/会場

日時:2016年03月27日(日)14:00~18:00
会場茅ヶ崎市勤労市民会館(〒253-0044 茅ヶ崎市新栄町13-32)
電話 0467-88-1331 FAX 0467-88-2922  http://www.chigasaki-kinro.jp/
参加費:1000円
連絡先:猪野修治(湘南科学史懇話会代表)
〒242-0023 大和市渋谷3-4-1 TEL/FAX: 046-269-8210 email: shujiino@js6.so-net.ne.jp
湘南科学史懇話会 http://shonan-kk.net/

当日配布資料

参考資料1 参考資料2